2018年の映画業界5大ニュース/『カメ止め』『万引き家族』『バーフバリ』が大ヒット!
2018年の映画業界5大ニュースをまとめた。
[1]TOHOシネマズ日比谷オープン
かつては「映画の街」として賑わっていた日比谷だが、シネコン時代に突入して既存の映画館が集客しづらくなり、徐々に閉鎖。映画興行界で日比谷は地盤沈下していたが、TOHOシネマズ日比谷のオープンで活性化しそう。郊外や地方で広がってきたシネコンだが、TOHOシネマズは都市部で強さを発揮してきた。東京都心部初のシネコンとして注目を集めた六本木がオープンしたのが03年。その後、渋谷の映画館をシネコン化したり、日本橋、新宿、上野に新施設を作ってきた。日比谷はこの路線をさらに強化するものだ。
・新名所・日比谷! 贅沢すぎる3つの“プレミア”で大人客を囲い込み
[2]『カメラを止めるな!』が異例の大ヒット
製作費わずか300万円のインディーズ映画が興収30億円の大ヒット。観客がツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどSNSで拡散させていき、ロングランヒットに結びついた。人気の秘密は、見終わった後の心地良さや笑える場面が多いこと。しかも、映画の性質上、ネタバレ厳禁なので、映画の中身をSNSで明かしているケースはほとんどない。これが逆に未見の人の興味をそそり、拡散していった。また映画に張り巡らされた伏線とその後の回収を確認するためにリピーターも多い。
日本人監督のパルムドール受賞は1997年、今村昌平監督の『うなぎ』以来だが、同作は地味目の内容からか、受賞効果はあまりなく、ヒットには結び付かなかった。一方、『万引き家族』は配給元ギャガがカンヌのコンペティション部門に選出される前から6月8日に公開日を設定。これは5月19日に授賞式が行われるカンヌでの受賞を想定した公開日。ギャガはアカデミー賞で何度かこの公開戦略をとっており、ノウハウが生きた。海外の映画賞受賞が興行の大きな弾みになったのは、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『おくりびと』以来だ。
[4]17年に続き18年も音楽映画がブームに
17年は『美女と野獣』を筆頭に『ラ・ラ・ランド』『SING/シング』と音楽映画がブームとなったが、18年もこの傾向が続いた。『グレイテスト・ショーマン』(2月公開)、『リメンバー・ミー』(3月公開)が興収50億円前後をあげ、公開中の『ボヘミアン・ラプソディー』は『グレイテスト〜』を上回る大ヒットとなっている。特に『グレイテスト〜』は日本で大ヒット。米国では年間興行ランキング18位だが、日本では7位。 “バブリーダンス”で話題を集めた登美丘高校とコラボPR動画を発表したり、来日した出演者キアラ・セトルがテレビで生歌を披露。楽曲の認知度に合わせて映画の認知度も高めていった。公開後はSNSで拡散したが、特にセトルが歌う『This is me』の「ありのままでいく、これが私だ」という前向きなメッセージが観客に響いたようだ。
[5]インド映画『バーフバリ』に熱狂的なファン
戦士バーフバリの数奇な運命と復讐を2部作で描く。17年4月に前編『バーフバリ 伝説誕生』が公開、12月に後編『バーフバリ 王の凱旋』が公開されたが、18年に入ってもリバイバル上映が繰り返し行われた。熱狂的なファンが多く、掛け声や応援など声を出しても構わない「応援上映」「絶叫上映」が行われ、オリジナル完全版やIMAX版が上映された。本作は王位をめぐる壮大な争いを描いたアクション叙事詩。ハイテンションで繰り広げられる場面の数々にハマるファンが続出した。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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