2019年、ディズニー・アニメの名作の実写版や『スター・ウォーズ』最新作など気になる話題作の公開が控えている。2月発表の第91回アカデミー賞での受賞が有力視される作品を中心に、要チェックの注目作を紹介する。
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ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画『メリー・ポピンズ』(64)の25年後を描く『メリー・ポピンズ リターンズ』(2月1 日公開)はロブ・マーシャル監督、エミリー・ブラント主演。前作でメリー・ポピンズが世話をしたバンクス家の子どもたちは大人になり、3児の父となった長男の家庭は悲劇に直面している。そこにメリー・ポピンズが再び現れるという物語だ。第76回ゴールデン・グローブ(GG)賞ミュージカル・コメディ部門作品賞、主演男優賞(リン・マニュエル・ミランダ)、主演女優賞(ブラント)、作曲賞の4部門にノミネート。コリン・ファース、メリル・ストリープ、ベン・ウィショーが出演。
木城ゆきとの「銃夢」をハリウッドで実写化した『アリータ:バトル・エンジェル』(2月8日公開)は、『アバター』のジェームズ・キャメロン監督が製作と脚本を務め、ロバート・ロドリゲス監督がメガホンをとった。アリータをローサ・サラザール(『ダイバージェントNEO』)が演じ、クリストフ・ヴァルツ、ジェニファー・コネリー、マハーシャラ・アリらが共演する。
GG賞でミュージカル・コメディ部門作品賞、同主演女優賞(オリヴィア・コールマン)、助演女優賞(エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ)、脚本賞にノミネートされた『女王陛下のお気に入り』(2月15日公開)は18世紀初めのイギリス王室を舞台に、病気がちなアン女王とお気に入りの側近サラ・チャーチル、サラの従妹アビゲイルの3人が繰り広げる権力と愛憎の駆け引きのドラマ。GG賞候補になった女優3人の凄まじい演技に目を奪われる。
今年の映画賞レース注目の1作『グリーンブック』(3月1日公開)は、『メリーに首ったけ』などで知られるファレリー兄弟の兄、ピーター・ファレリーの単独監督作。1962年のアメリカ南部を、黒人専用ガイドブック「グリーンブック」を頼りにツアーする黒人ピアニストと彼が雇ったイタリア系用心棒のロードムービー。GG賞ミュージカル・コメディ部門作品賞、同主演男優賞(ヴィゴ・モーテンセン)、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)、監督賞、脚本賞にノミネート。オスカー作品賞に直結する場合が多いことで知られるトロント国際映画祭観客省を受賞している。
3月にはマーベル市場初の女性ヒーロー単独主役を描く『キャプテン・マーベル』(3月15日公開)も控える。主演は『ルーム』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したブリー・ラーソン。監督と脚本はアンナ・ボーデン&ライアン・フレック。サミュエル・L・弱ション、ベン・メンデルソーン、ジャイモン・フンスー、ジュード・ロウが出演。
スパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』(3月22日公開)は、1979年に白人至上主義団体のクー・クラックス・クラン(KKK)に潜入捜査したアフリカ系アメリカ人の刑事を描く。主人公のストールワース刑事をデンゼル・ワシントンの息子のジョン・デヴィッド・ワシントンが演じ、ストールワースに協力する白人のジマーマン刑事をアダム・ドライヴァーが演じる。カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞し、GG賞ではドラマ部門作品賞、同部門男優賞(ワシントン)、最優秀監督賞、助演男優賞(ドライヴァー)にノミネートされている。
1941年製作のディズニーの長編アニメ映画の名作をティム・バートン監督が実写映画化した『ダンボ』(3月29日公開)。極端に大きな耳を持つ子象のダンボを主人公に、オリジナル脚本でダンボと人々の出会いから生まれる奇跡を描くファンタジー・アドベンチャーになるという。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のコリン・ファレル、『ビートルジュース』『バットマン』シリーズでバートン監督と組んだマイケル・キートン、『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』のエヴァ・グリーンらが出演している。
ディズニーアニメの人気作の実写版はもう1本、『アラジン』(6月7日公開)もある。1992年公開のアニメ版は主題歌「ホール・ニュー・ワールド」がアカデミー賞歌曲賞を受賞したが、今回はミュージカル映画として実写化される。『シャーロック・ホームズ』シリーズや『キング・アーサー』のガイ・リッチーが監督を務め、主人公アラジンをエジプト出身のメナ・マスード、ジャスミンをナオミ・スコットが演じ、ランプの魔人ジーニーをウィル・スミスが演じる。
ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領を務めたディック・チェイニーを描いた『バイス』は4月公開。『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のアダム・マッケイ監督が再びクリスチャン・ベイルと組む。本人の面影ゼロの外見でチェイニーになりきったベイルの熱演に注目。GG賞ミュージカル・コメディ部門作品賞、同主演男優賞(ベイル)、助演男優賞(サム・ロックウェル)、助演女優賞(エイミー・アダムス)、マッケイは監督賞と脚本賞にノミネートされている。
『トイ・ストーリー4』も7月12日に公開になる。第1作から10年後が舞台で、4歳の女の子のもとで新たな日々を送るウッディやバズ・ライトイヤーたちの物語。ウッディの声をトム・ハンクス、バズ・ライトイヤーの声をティム・アレンが続投。監督は『インサイド・ヘッド』の脚本を手がけたジョシュ・クーリー。
年末には『スター・ウォーズ』新3部作の完結編『スター・ウォーズ エピソード9(仮題)』の全米公開が予定されている。例によって詳細は極秘で明らかにされていないが、2019年最大の話題作になることは間違いない。(文:冨永由紀/映画ライター)
冨永由紀(とみなが・ゆき)
幼少期を東京とパリで過ごし、日本の大学卒業後はパリに留学。毎日映画を見て過ごす。帰国後、映画雑誌編集部を経てフリーに。雑誌「婦人画報」「FLIX」、Web媒体などでレビュー、インタビューを執筆。好きな映画や俳優がしょっちゅう変わる浮気性。
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