日本で大ヒット中の『ボヘミアン・ラプソディ』はゴールデングローブ賞でコメディ・ミュージカル部門の作品賞、主演男優賞を受賞。アカデミー賞でも台風の目となるか期待されたが、作品賞、主演男優賞など5部門でのノミネートにとどまった。作品賞候補作8本の中で最も少ないノミネート数だったのには4つの理由が考えられる。
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1つめは監督不在であること。『ボヘミアン』のブライアン・シンガー監督は撮影を何度か休んだことで映画会社から解雇され、別の監督が残りの撮影と仕上げを行った。契約上、シンガーは監督にクレジットされてはいるが、アカデミー会員はシンガー監督の力量を認めておらず、当然監督部門のノミネートから外れた。
ちなみに、主演のラミ・マレックはゴールデングローブ賞を受賞した際のスピーチで「10年以上もこの物語を実現するように働き続けてくれたグレアム・キングとデニス・オサリヴァンに感謝を申し上げます。我々を信じてくれた20世紀フォックスとニュー・リージェンシー・プロダクションズにも感謝を申し上げます」と、プロデューサー陣と映画会社に謝意を述べたが、監督には触れていない。
3つめは映画オリジナルの楽曲が不在であること。主題歌賞の候補は全て映画オリジナル。クイーンの楽曲は対象にならず、ノミネートされなかった。
4つめはクイーンがイギリスのバンドであること。アメリカ人が中心のアカデミー会員はクイーンへの思い入れが弱く、ノミネートの結果に影響したのではないか。年配層が多いといわれるアカデミー会員は英国王室ものにはなじみがあり、しばしば作品賞候補になっている。『女王陛下〜』が10部門でノミネートされたのはその流れだろう。
なお、ゴールデングローブ賞はハリウッド外国人映画記者協会に所属する外国人記者90人が選ぶ。外国人の方がクイーンに思い入れが強かったと読み取れそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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