ディズニー+への切り替えに劇場の不満募る
3月6日から公開されたディズニーアニメーション新作『ラーヤと龍の王国』の興行成績が振るわない。8日までの3日間の興収は約7000万円(週末興行ランキングでは6位)。20年8月に公開されたピクサー/ディズニー新作『2分の1の魔法』が初日3日間で約2億1600万円だったので、3分の1の出足だ。『2分の1の魔法』は最終興収が推定7億円で、『ラーヤと龍の王国』はさらに下回りそう。近年はヒット連発だったディズニーアニメとしては珍しい低調ぶりだ。
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不振の要因の1つが上映スクリーン数の少なさだ。近年のディズニー/ピクサーアニメの公開時の上映スクリーン数(字幕版、吹替版の合計)を見ると、『トイ・ストーリー4』が556、『アナと雪の女王2』が878、『2分の1の魔法』が523なのに対し、『ラーヤと龍の王国』は252。観客が全国津々浦々で見ることができる状況ではない。大手シネコンではイオンシネマズ、ユナイテッドシネマ、シネマサンシャインが上映する一方、TOHOシネマズ、Tジョイ、MOVIX、109シネマズが上映していない。
この背景には『ラーヤと龍の王国』が動画配信サービス「ディズニー+」で同時配信(追加支払いのプレミアアクセスでの配信)されることがある。
昨年、アメリカでは一部の新作が劇場公開と同時に配信され、映画館側が猛反発した。日本でも同じ構図だ。さらにディズニーは昨年、『ムーラン』『ソウルフル・ワールド』の劇場公開を取り止め、ディズニー+での配信に切り替えた。公開予定だった映画館では予告編を長期間に渡り上映しており、結果的に公開しない配信作品を宣伝しただけとなり不満が募った。こうした経緯も『ラーヤと龍の王国』の上映館数の少なさに影響したと推測される。
3月8日からは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開された。強力なライバルの登場で『ラーヤと龍の王国』の興行はさらに苦戦を強いられそうだ。(文:相良智弘/フリーライター)
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