ゾクゾクする恐怖の背景には、台湾の史実にあった
大ヒットホラー・ゲームの映画化で、台湾の「白色テロ時代」をベースに描いた衝撃作『返校 言葉が消えた日』が7月に公開決定。このたび、ポスタービジュアルが公開された。
・権力に屈せず立ち上がる若者たちを捉えたドキュメンタリー3本
学校を舞台にしたこのビジュアルでは、主人公の女子高生、ファン・レイシン(ワン・ジン)を中心に据え、男子学生のウェイ・ジョンティン(ツォン・ジンファ)、男性教師のチャン(フー・モンボー)、女性教師のインが、互いに目を合わせることもなく静かに佇んでいる。そこには、「自由が罪と教えれられた時代。あなたなら、どう生きましたか?」とのキャッチコピーが添えられ、必ずしも対岸の火事ではないことを私たちに訴える。
本作品の元となった大ヒットゲーム「返校 -DETENTION-」を制作したレッド・キャンドル・ゲームス取締役のコーヒー・ヤオは、本作品を絶賛。「ジョン・スー監督が描く映画の描写は、まるで魂自体が現れ出すような感じだ」と、その情熱的な手腕に拍手を送った。
台湾に存在した反政府運動弾圧の歴史が、静かな恐怖を誘う
本作品の舞台は、1962年の蒋介石率いる国民党の独裁政権下の台湾。市民は、相互監視と密告を強制されていた。翠華高校に通う女子高生のファンが、放課後の教室で眠りから目を覚ますと、何故か学校には誰もいなくなっていた。校内をひとり彷徨うファンは、政府から禁じられた本を読む読書会メンバーで、秘かに彼女を慕う男子学生のウェイと出会い、協力して学校からの脱出を試みるが、どうしても外に出ることができない。消えた同級生や先生を探す2人は、悪夢のような恐怖が迫る中、学校で起こった政府による暴力的な迫害事件と、それを招いた密告者の悲しい真実に近づいていく……。
本作品は、第56回金馬奨主要12部門にノミネートされ、最優秀新人監督賞を含む最多5部門を受賞したヒット作。物語の背景には、多数が投獄、処刑された台湾での反政府運動弾圧の歴史、「白色テロ時代」がある。
この時代をテーマにした映画としては、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したホウ・シャオシェン監督『悲情城市』や、『牯嶺街少年殺人事件』などがある。また、本作品の描く時代の30年後を舞台にしたドラマ『返校 – DETENTION-』は、昨年12月からNetflixで全世界独占配信されて話題を呼んだ。
『返校 言葉が消えた日』は7月に公開される。
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