ハリウッドではここ数年、「スター・パワーの終焉」がささやかれている。スターが主演しても、それが必ずしも興行成績に結びつかない。この夏はまさにそれを証明したような結果になりそうで、ロサンゼルス・タイムズは「今年の夏に大ヒットした映画のほとんどは、無名の俳優が主演しているか、あるいは俳優が一切スクリーンに登場しないものだ」と辛口で論じた。
スターを主演させたものの期待はずれに終わった作品として挙ったのが、“Land of the Lost”(全米で人気のコメディアン、ウィル・フェレル主演)、“Year One”(ジャック・ブラック主演)、“Imagine That”(エディ・マーフィ主演)、『サブウェイ123 激突』(デンゼル・ワシントン、ジョン・トラヴォルタ主演)。
一方、この夏収益を上げた映画は、“The Hangover”『スター・トレック』『トランスフォーマー:リベンジ』。ここで疑問に思うのは『トランスフォーマー』のシャイア・ラブーフとミーガン・フォックスはスターではないのかということ。この点についても、この作品の成功のカギは壮大なスケールのビジュアル・エフェクトであって、それに加えてこれからが期待される2人と分析されている。おまけに、今までのところ、この夏最も稼いだ映画はといえば『カールじいさんの空飛ぶ家』。まさに、スターパワーに頼らなかった映画が成功しているのだ。
こうした変化の原因として挙げられたのが、インターネットによる口コミの広がりの速さだ。以前は作品が公開された週末には、月曜日が来るまでは批評や口コミといった情報のない静かな時間があった。その間に「あの有名スターが出ているから行ってみよう」という観客もいただろう。しかしインターネットでは。「スターが出ていてもつまらない」という情報はあっという間に広がってしまう。逆に、「スターは出ていなくてもおもしろい」という評判も広がるというわけだ。
ハリウッドが今すぐスターを必要としなくなるということはありえないだろう。しかし見逃せない変化であることは間違いない。
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