元漁師の年老いた祖父と18歳の孫娘。2人が、ある事情から、疎遠だった親族を訪ね歩く旅に出る様を描いた珠玉の映画『春との旅』の記者会見が、12月7日に有楽町朝日ホールで行われ、キャストの仲代達矢と徳永えり、小林政広監督らが出席。映画への思いを語った。
『春との旅』完成報告会見/仲代達矢、徳永えり、小林政広監督ほか
監督作『海賊版=BOOTLEG FILM』(99年)『殺し』(00年)『歩く、人』(01年)と3年連続でカンヌ国際映画祭出品の快挙を果たしたほか、『愛の予感』(03年)でロカルノ国際映画祭金豹賞(グランプリ)を受賞するなど、世界的な活躍を見せる小林監督。だが、紀伊宗之プロデューサー曰く「日本で最もお金の匂いのしない監督」でもあるため、資金集めには苦労したという。「いい話なんだけどね」とは言ってもらえるものの、どこに企画を持っていっても断られることが何年も続き、ダメもとで仲代の事務所に手紙と脚本を送ったところ、嬉しいことに気に入ってもらえ、映画作りがようやく現実味を帯びてきたという。
脚本の素晴らしさに惹きつけられたという仲代は、「すごく脚本が良かったので、(映画にすることで)それを超えられるのかと不安になったことが、ちょっとありました」。だがその心配は杞憂だったようで、「完成した作品を見て、『脚本を超えたね』と言って、監督と握手しました。小林監督は見事な脚本を書き、それを監督した、映画作りの天才だと思っています」と絶賛していた。
基本的に1シーン1カットで撮ったという本作。その理由について監督は、「そうしないと、役者さん同士のお芝居の空気感などが失われてしまい、すごく薄っぺらなものになってしまう気がした。一発勝負の長回しで撮っていると、こちらの気合いも入り、画(え)に力が出てくると思う」と語った。隣の仲代も、「黒澤明監督も、ほとんど1シーン1カットでした」とうなずいていたが、「ただ、製作日数がもう少しあった方がいいんでしょうね」と苦笑い。『春との旅』では、前日にリハーサルをし、翌日に撮影ということがほとんどだったようだが、仲代は「黒澤監督は、ヘタすると1カ月リハーサルしますから」と、巨匠の現場を振り返った。
さらに仲代は、「老役者の戯言(たわごと)ですが」と前置きしてから、「若く才能のある監督に、もう少しお金と時間を与えてあげたら、日本映画はもっと世界に羽ばたいていくと思います。役者にも反省してもらわないといけないのですが、スケジュールがいっぱいで撮影期間が十分取れず、監督を縛り付けていることが多い」と、日本映画の現状に苦言を呈していた。
そんな仲代の隣でかなり緊張した様子の若手女優・徳永は、今回の出演について「全身全霊をかけて演じきったつもり」と爽やかな笑みを浮かべた。仲代を始め、大滝秀治、菅井きん、淡島千景、柄本明、田中裕子などそうそうたる名優たちが勢揃いした現場についても触れ、「目の前でみなさんの集中力、みなぎるパワーを感じられ、勉強になりました」と、感慨深げに語っていた。
『春との旅』は2010年5月より全国公開予定(『春との旅』作品紹介)。
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