熾烈な水戦争に迫る『ブルー・ゴールド』監督が語った命がけの撮影
限りある、そして人類にとって必要不可欠な「水」を巡る戦いを、世界規模で追ったドキュメンタリー『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』が1月16日に公開となり、来日中のサム・ボッゾ監督が都内劇場のアップリンクでトークショーを行った。
「『水』戦争の世紀」(集英社新書)という本に出会ったことから、水を巡る熾烈な世界戦争について知り、映画化を思い立ったという監督。一番印象的だったシーンについて聞かれると、「メキシコでは、政府が、汚水を農業用水として使っていることを隠すために、警備員が立っています。私は警備員に賄賂を渡して、20分だけ撮影を許可されたのですが、『撮影が20分を過ぎたらどうなるのか』と聞くと、『20分後に戻ってくる別の番人に殺されて、川に死体が浮くことになるだろう』と言われました」と話し、死と隣り合わせの危険な撮影の末に、本作が完成したことを明かした。
豊かな水資源に恵まれた日本では、「水戦争」という言葉にピンとこない人も多いだろうが、石油戦争に明け暮れた20世紀が終わり、21世紀は水戦争の時代になるとも言われているのだ。「メキシコやケニアなどでは、水は汚染されていて、ペットボトルの水しか安心して飲むことができませんでした」と監督。それはつまり、ペットボトルの水を製造、販売する企業が利益をあげていることを意味している。一方で監督は、「私はこれを反大企業の話にはしたくありませんでした。企業が利益を求めるのは自然なこと。ただ、利益のシステムに水を取り込むことが問題なのです。責めるべきは、(人類の財産である水資源を)管理すべき政府です」と訴えていた。
ちなみに、水の美味しい国は日本だそうで、「私が住んでいるカリフォルニアの水より美味しい」と感想を述べていた。
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