孤児院で育った2人の青年の過酷な現状と希望を描いた『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』。ベルリン国際映画祭フォーラム部門に出品されたこの作品が、2月13日の午後9時半(現地時間)より上映され、大森立嗣監督と主演の松田翔太が出席した。
フォーラム部門で招待されるのは監督のみということで、松田は自費で参加。上映後のQ&Aでは監督の演出について聞かれ、「今は話しやすいけど」と前置きした上で、「現場では近づけない感じで、自分の心のなかを見られているようだった。だから、なるべく自分が台本に近づけるように頑張った」と答えていた。
松田はまた、父親の松田優作についても言及。「この映画の撮影をしていた去年(2009年)頃から、不思議なタイミングで、いろいろなことが始まったりなくなったりしています。僕の中に、ある種の父親像がなくなり、形を追いかけていたことが、経験と知識を含めた別のものへと始まりかけた年でした。(共に1989年の)ベルリンの壁の崩壊と父親の死から20年という年が、自分にとっての“始まりのタイミングの年”であったことの偶然に驚いています」とコメント。さらに「ベルリン映画祭に初参加でき、演技とは、俳優とはということと向かい始める良いスタートになったと思っています」と、新たな出発点について語った。
当日は雪もちらつき、マイナス6度という寒さだったが、会場のデルフィー劇場は800近い席がほぼ満員で、観客からは「(映画を)とても好きになった。俳優も良かった」という声が挙がり、松田もホッとした表情を浮かべていた。
『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』は6月12日より公開予定。
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