日本人初のノーベル文学賞受賞作家である川端康成。その川端原作の122編の作品が収められた『掌の小説』が、新進気鋭の4名の監督によってオムニバス映画化。初日舞台挨拶が3月27日にユーロスペースで行われ、出演者の内田春菊、中村麻美、長谷川朝晴らと3人の監督が登壇。舞台挨拶を行った。
全4編中の第3話『日本人アンナ』に出演した内田春菊は、「今日は寒い夜にお運びいただきまして、どうもありがとうございます。昼間はいい天気で暖かかったですど、桜などご覧になりましたでしょうか?」と桜をモチーフにした映画なだけに、桜に触れると、「今日はこの映画で川端トリップを経験していってください」と川端文学に経緯を払っていた。
その『日本人アンナ』を監督した坪川拓史は「撮影は3年前の桜の時期。3年経って、桜の時期に公開でき、本当に嬉しく思っています」と話すと、完成しないんじゃないかいう不安のなかで、支えてくれたスタッフ・出演者へ感謝の意を述べていた。
また、役作りに関して聞かれた中村は、「役作りというよりは現場に入って、衣装を着て、時の流れに身を任せた感じ。すごくゆっくりと流れていく時のなかで、気持ちよく演じられた印象が一番残っています。できあがった画(え)を見ても、すごく美しく、大好きな作品になりました」と満足そうな笑みを浮かべていた。
一方、撮影中のエピソードを聞かれた長谷川は、「正直、3年前なので1つも覚えていない」と打ち明け、場内や登壇者からも笑いがこぼれる。これに長谷川は「覚えていないですが、それは映画ということで画面に残っている。すてきな作品になったと思うので、みなさんに感じ取っていただければ」と自らフォローしていた。
旅館の女中を演じた内田は印象に残ったことについて、旅館のシーンで『日本人アンナ』の主役を演じた福士誠治と坪川監督が「何度も何度も打ち合わせをして、段取りにこだわっていた。こんなに短いシーンを2人がこだわっているのが、とてもいい思い出になっています」と語っていた。
『掌の小説』はユーロスペースにて絶賛上映中。
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