5月7日、青山スパイラルホールで第19回日本映画批評家大賞の授賞式が開催され、寺尾聡や薬師丸ひろ子ら受賞者が出席し、トロフィーを授与された。
新人賞に選ばれたのは『ちゃんと伝える』のAKIRA、『愛のむきだし』の満島ひかり、『ホノカアボーイ』の岡田将生の3人。受賞後の挨拶で満島は、「237分の作品なのですが、470シーンを6週間で撮るというハードな撮影で、満身創痍で戦い抜きました」と振り返ってから、「これからも地に足を着けて、針を突き刺すような役者になっていきたいと思います」と抱負を語った。
助演男優賞は、『今度は愛妻家』でオカマ役を怪演した石橋蓮司が受賞。新境地に味をしめたのか、「残る余生は女性の行動形態を探求し、新たなる分野を開拓していきたい」と意欲を示していた。また、助演女優賞は『ディア・ドクター』の八千草薫が受賞したが、足を傷めたため欠席した。
主演女優賞は『今度は愛妻家』の薬師丸が、主演男優賞は『さまよう刃』の寺尾が受賞。挨拶に立った寺尾は「ホンネを言うと、受賞については複雑な気持ちです」と意外な思いを吐露した。「もっと良くできたのでは」という思いを抱き続けているそうで、「映画人生の中で、一番腹立たしい思いを残した作品」とも。撮影現場には意見の対立やケンカがあったことを明かし、「ケンカの仕方がヘタなのか、若い人がすぐ逃げてしまうのが歯がゆかったのか……。もう少しケンカの仕方を勉強して、次回はもっと面白い作品を目指したい」と笑顔を浮かべていた。
授賞式後の囲み取材では、新人賞受賞の3人に「ライバルは誰?」という質問が。岡田は「あまり考えたことがないですけど、自分ですね」と回答。満島も「私も、過去と未来の自分自身」と答え、AKIRAも同意していた。
またこの日は、審査員特別男優賞を『TAJOMARU』の萩原健一が、ダイアモンド大賞を倍賞美津子がそれぞれ受賞。元交際相手である倍賞との再会について聞かれた萩原は、「お会いできると嬉しいと思っていたんですけど、仕事の都合で……」と自らの都合で再会がかなわないことを明かし、「それがいいんじゃないですか? でも、好きですよ」と微妙な笑顔を浮かべていた。
●主な受賞結果
【作品賞】「風が強く吹いている」
【監督賞】根岸吉太郎「ヴィヨンの妻〜桜桃とたんぽぽ〜」
【主演男優賞】寺尾聰「さまよう刃」
【主演女優賞】薬師丸ひろ子「今度は愛妻家」
【助演男優賞】石橋蓮司「今度は愛妻家」
【助演女優賞】八千草薫「ディアドクター」
【新人賞/男優(南俊子賞)】AKIRA「ちゃんと伝える」/岡田将生「ホノカアボーイ」
【新人賞/女優(小森和子賞)】満島ひかり「愛のむきだし」
【新人監督賞】大森寿美男「風が強く吹いている」/板尾創路「板尾創路の脱獄王」
【審査員特別男優賞】萩原健一「TAJOMARU」
【ダイヤモンド大賞】倍賞美津子
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