フランスのベストセラー小説を映画化した『メッセージ そして、愛が残る』の試写会トークショーが9月13日に都内で行われ、精神科医の香山リカが登場した。
『メッセージ そして、愛が残る』作品紹介
[動画]『メッセージ そして、愛が残る』予告編
映画は、幼い息子の死のショックから立ち直れず家族を遠ざけて生きてきた男が、自らの死期が迫っていることを知り、妻との絆を取り戻そうとする姿を描いた感動作。主演はロマン・デュリス。その妻をドラマ『LOST』のエヴァンジェリン・リリー、謎めいたドクターをジョン・マルコヴィッチが演じている。
まずは映画のテーマでもある“死”について語った香山。もし死が迫っていたらどうするか聞かれると、「不義理をしていて、いろいろ謝らなきゃいけない人もいるので、いろんな人に会いたい。謝るだけでなく、こんなに沢山の人に支えられていたんだということも確かめたい」。
また、自分の死期を知りたいかという質問には「若い頃は知りたくなくて、知らないうちに死にたいと思っていた」と前置きしてから、50歳を迎えた今は、死期を知り、やるべきことをやって死にたいと思うようになったと説明。「死は誰もが迎えることだし、周りの人々の記憶に残るんだと分かってきたので、あまり怖くなくなってきた」とも話していた。
さらに、医師として死期が迫った人とも接してきた体験を踏まえ「(死期を知った後の)辛い時期は、実は思ったほど長くない」とも。みんな最初は怒ったり悲しんだりするけれど、最終的にはその人らしい最期を迎えるもので、「人間には人生を全うする力があるので、私はそれを邪魔しないようにしています」と語った。
続いてテーマは“愛”に。主人公と妻の愛情の変化について聞かれると「人間の感情はワンパターンではないので、愛情の形も(時間と共に)変わっていっていいと思う」と香山。燃え上がるような関係の後は友情や家族愛に近いものへと変化することもあると語っていた。また、自身の恋愛観にも触れ、「若い頃は好みに合わないとダメ、と思ったりして選択肢の幅を狭めていたので、ソンしたな」と苦笑い。「年齢と共に恋愛に求める価値観が変わってきた。ルックスじゃないなと思うようになった」とも話していた。
また、長く愛し、愛される秘訣について聞かれた香山は、「無償の愛、万能の愛を求めてはいけない」と断言。「今の女性は、何をしても受け入れてくれる人、どんなときでも守ってくれる人、寄り添ってくれる人を求めがちだが、相手は神様ではないので、そういう人は現実的にはありえないと思う」と香山。逆に女性に「あなたは相手が何をしても受け入れられる?」と聞くと「私にはできない」と言う人が多いと話し、「相手も人間なのだから、嫌なことを言えば傷つくし、限界もある。自分にも相手にも欠点があることを理解しないと……」と冷静にアドバイスしていた。
最後に後悔しない人生の法則について聞かれると「人生には勝ちも負けも、失敗も成功もない。幸せは、世間的な尺度とは全然違うところにあるんだなと思う」と言い、自分の人生を自分のものとしてしっかり受け止めながら生きていくことが大切だと話していた。
『メッセージ そして、愛が残る』は9月25日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国順次公開される。
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