1967年2月4日生まれ。監督、脚本家、プロデューサー、俳優として活動。テレビのトークショーでブレイクし、原案、脚本、監督、出演をつとめたドラマ『Solsidan』(10年)を大ヒットさせた。映画では、ミカエル・パーシュブラント主演コメディ『Vuxna manniskor』(99年)で監督・出演デビューを果たす。その後もスウェーデンエンターテイメント界の第一線で活躍。『アナと雪の女王』などの大作を超える大ヒットを記録した本作ではスウェーデンのアカデミー賞にあたるゴールデン・ビートル賞において最優秀観客賞を受賞した。
『100歳の華麗なる冒険』フェリックス・ハーングレン監督インタビュー
高齢化社会の憂鬱を吹き飛ばす痛快作が登場! スウェーデンで『アナ雪』を超えた大ヒット作を放った監督を直撃
保険料の増大に、加速する超高齢化社会──眉間にシワが寄るようなニュースばかりが目につく昨今だが、そんな沈んだ気分を吹き飛ばしてくれるような映画史上最高齢ヒーローが、スウェーデンから登場した!
彼の名はアラン・カールソン。100歳の誕生パーティー直前に老人ホームから逃亡した彼が世界中を駆け巡るこの壮大な物語を見ていると、「人生、なんとかなるさ」と楽観的な気分になってくる。
レーガンやゴルバチョフ、スターリンをはじめ歴史上の重要人物と親交を持ち、歴史の節目に居合わせてきた“超重要人物”アランは、一体何者なのか? スウェーデンで大ヒットしたアドベンチャーコメディについて、フェリックス・ハーングレン監督に語ってもらった。
監督:私は25年間、主に俳優、コメディアン、脚本家として、映画業界に携わってきました。本作は私の3作目の長編映画となりますが、実は自分自身で監督した、最初の作品でもあります。テレビにも携わってきて、現在はアメリカNBCのコメディ・シリーズをプロデュースしているところです。また、私の過去のコメディ・シリーズのひとつ 『Ulvenson & Herngren』は、アメリカでリメイク中で、『The Comedians』というタイトルでビリー・クリスタルが出演しています。現在、多くのインターナショナルな企画が進行しており、大変楽しんで仕事をしております。
監督:良い作品を作らなければならないという責任を負っていると思います。本と映画は違うものなので、我々は本をそっくりそのまま撮影することはできません。監督は物語の本質を保たなければならないけれど、一方で映像と人々と音を有しています。また、成功する映画を作るためには、何を残し、何を削除するかという厳しい決断を下さなければならない。でもそれは、原作のある映画を作る楽しい部分でもあると思います。
監督:いくつかの部分はスウェーデンのトロルヘッタンで撮影しました。そしてハンガリーのブダペストでも複数の場面を撮影しました。ブダペストは撮影には素晴らしい街でした。ブダペストには素晴らしい環境と、熟練した映画職人がいるからです。ブダペストでは、ロシア、パリ、アメリカを舞台に見立てた多くの場面を撮りました。タイにも赴き、話上ではバリで起こる、複数の場面を撮影しました。
監督:この映画のなかでは数多くの爆破シーンがあり、我々は少年時代の夢を叶えたかのように多くの橋を吹き飛ばしましたよ。楽しかったですね。
主人公アランを演じているのは、スウェーデンの国民的コメディ俳優で50歳のロバート・グスタフソンですが、特殊メイクで(老人になるための)マスクをつけるのに5時間〜7時間もかかりました。ときには真夜中にマスクを装着し始め、朝の8時に“アラン”が出来上がっていることもありました。
監督:西洋では、人生の終盤とは、退職したときにたくさんのお金が貯めてあって物質的に良い暮らしを送り、ゴルフをしたりできることだと考える傾向がありますが、実際には我々のほとんどが、孤独に老人ホームに行き着き、そこで死に向けただ朽ちて行くのです。心の底で我々は、このことをわかっています。それゆえ、誕生日を迎えた100歳の男が、好奇心旺盛で人生でさらなる体験をしたいがために老人ホームから逃げ出す姿を見るのは、痛快なことなのです。彼は物事を計画したり将来の心配をしたり、過去を憂えたりするような男ではありません。非常にリラックスした方法で、今日が最後の日であるかのようにただ毎日を生きていきます。
人々はアランになりたいと感じる。その理由は、物質的な所有欲に支配され最後は老人ホームで終わっていく西洋的な老後よりもしっくりくる生き方だからです。もうひとつの理由は、この100年間で人類が何を成し遂げたかという俯瞰を与える物語だからです。我々の前をおかしく通り過ぎていく100年の歴史を見るといのは、楽しいストーリーでもありますから。
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