1900年に誕生。今年、創業110周年を迎えた日清製粉グループが、記念テレビCMをスタジオジブリに依頼。完成したCMの発表会が3月19日に帝国ホテルで行われ、同社の宮内泰高(代表取締役副社長)と稲垣泉(上席執行役員総務本部広報部長)、スタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫が登壇した。
このCMは、ジブリの鈴木プロデューサーが描いた子猫の絵を、宮崎駿監督の息子で『ゲド戦記』監督の宮崎吾朗が画コンテに起こし、さらに『崖の上のポニョ』作画監督の近藤勝也が作画を担当するという豪華リレーで仕上がった。子猫がチョウチョと戯れていると、麦わら帽子が降ってきて……という様子がユーモラスに描かれている。
子猫の原画を描いた鈴木は、「アニメ会社にいるくらいだから、絵は好きだと思われるかもしれないが、確かに僕も子どもの頃から絵が好きでした。でも、宮崎駿と出会って描くのを止めた。理由は僕よりうまいから。うまい人の前で絵を描くのは、結構勇気がいるわけで、絵の代わりに字を書くようにしたんです。それが、3〜4年前に思いつきで筆を使って字を書いてみたら楽しくて」。
その鈴木が、あるとき、ふと、筆で描いたのがCMに登場する子猫の絵だ。「正直言いますけど、2度と描けません(笑)、自分でもいいなと思っていたらアシスタントにも誉められた」と話す鈴木は、宮崎からも「今まで鈴木さんが描いたなかで1番いいよと言われた」と少々照れながら明かす。
そうした経緯から、今回のCMで使用する絵はすべて、筆で描かれることに。鈴木はこのチャレンジを、「たとえ30秒でも、全部筆ペンで作ったことはすごく大きい挑戦だった」と振り返る。そして、この製作作業に1番最後まで関心を示していたのが宮崎だった。「絵を描いているところに宮崎が、毎日のように寄ってきては、無理難題も含めアドバイスをしていく。要するに気になるんですよね。自分もやったことがないから」。
その後、会場では子猫の名前発表も行われた。子猫の絵入り色紙を手にした鈴木は、その場でサラサラと描き込む。完成した色紙には「コニャラ」と書かれており、名付けを一任されたという鈴木は「日清製粉さんと言えば粉」と名前の由来を説明していた。
日清製粉の新CMは3月20日よりオンエアされる。
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