『死にゆく妻との旅路』が公開となった2月26日に、ヒューマントラストシネマ有楽町で三浦友和、石田ゆり子、塙幸成監督が初日舞台挨拶を行った。
・[動画]『死にゆく妻との旅路』 初日舞台挨拶
・三浦友和『死にゆく妻との旅路』インタビュー
借金に追われ、末期ガンの妻とワゴン車で日本各地をさまよった挙げ句、1999年に保護責任者遺棄致死罪で逮捕された男性の手記を映画化した作品。一時は制作中止の危機にも見舞われたという作品だけに、冒頭の挨拶では三浦も石田も「感無量です」と語っていた。
272日間に渡る6000キロの旅を描いたロードムービーだが、監督は「お金もなくスタッフも足りないので、みんなで車を運転して移動した」と苦笑い。夜に北陸を出て、翌朝は鳥取砂丘で午後は姫路城で撮影。夕方は明石大橋で撮影して、その後、清水に移動するというような強行軍だったそうで、監督は「本当にお二人にはひどい仕打ちをしてしまったのですが(笑)、人格者だったので怒られずにすみました」と話していた。
三浦と石田が演じたのは年の離れた夫婦の役だが、石田は「結婚をしたことがないので、夫婦の空気感をどうやって出したらしいのか戸惑った」と告白。41歳の彼女だが、なんと孫までいるという設定で「孫のいる役はさすがに初めてで……」と、困惑はまだ続いているようだった。
後半は末期ガンで衰弱していく妻を夫が介護するシーンが続くが、三浦は撮影中、石田から介護の仕方が乱暴だと言われていたそうで、「頭の置き方が乱暴だと、いつも責められてました」と告白。石田は「(三浦は)意外と大雑把」と言いかけ、あわてて「あの、力強い置き方を」と訂正。さらに、それも含めて三浦の妻役を演じられて嬉しかったとフォローしていた。
また三浦は、妻が夫に「名前で呼んで」と頼むシーンに触れ、「僕も、“お父さん”“お母さん”と呼び合っていて、ああいう心境って女性にはあるのかな」とポツリ。観客の1人が深くうなずいている姿に感じるところがあったようだが、「でも、(我が家では名前では)呼ばないんですけどね。絶対」と断言していた。
最後の挨拶では「三浦さんと石田さんの演技が心に迫る良い映画になった思うので、ぜひまた劇場に足を運んでいただければ」と監督。三浦は「ご夫婦で見ていただきたいと、心から思います」としみじみした口調で語りかけていた。
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