【映画を聴く】『この世界の片隅に』前編
音楽を担当するのは坂本龍一の愛弟子?
『この世界の片隅に』の勢いが止まらない。11月12日に60館ちょっとの小規模上映で始まり、年明けには累計でおよそ180館にまで公開規模が拡大する予定。『シン・ゴジラ』『君の名は。』といったメジャー配給作品とは成り立ちや位置づけが異なるものの、日本映画の当たり年となった2016年を代表する一作になることは間違いなさそうだ。これから見るという方も多いと思うので、ここでは作品そのものの細かい話は置いておいて、その音楽についておさらいしたい。
・のんのホンワカ柔らかい声が耳に心地良い! ほっこりと優しく穏やかな気持ちになる『この世界の片隅に』
まず、本作に使われるすべての音楽を担当したコトリンゴについて。彼女はこの2016年にデビュー10周年を迎えたシンガー・ソングライター。甲陽音楽学院からバークリー音楽大学に進学した才女で、デモテープが坂本龍一の耳にとまり、彼が主宰するcommmonsレーベルからデビュー。ソロとしてコンスタントにアルバムをリリースしながら、2013年には新体制となったKIRINJIにメンバーとして加入。楽曲提供もこなすなど、グループ内で大きな役割を担っている。
片渕須直監督とのつきあいは、監督の2009年作『マイマイ新子と千年の魔法』に主題歌「こどものせかい」を提供したことから始まっている。この作品の公開後、彼女が自身のアルバム『picnic album 1』(邦楽のカバー集)を手渡したところ、そこに収められていた「悲しくてやりきれない」を監督が気に入り、『この世界の片隅に』の特報に同曲の再録音版を使用。「劇伴もぜひやらせて欲しい」という彼女のリクエストから、音楽への全面参加が決まったという(後編へ続く…)。
・後編「片渕監督のリクエストで採用!『悲しくてやりきれない』」)
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