11月23日より公開中の『かぐや姫の物語』。「子どもの幸せを考え直すきっかけになった」「親と子の思いの擦れ違いや、良かれと思う事が伝わらない切なさに共感した」など、翁とかぐや姫の関係に自らの子育てを重ねた意見が多く上がっている。その翁の声優をつとめたのは故・地井武男だが、実は“もうひとりの翁”がいたことが明らかになった。
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地井武男の遺作でもある本作は声を先に録音するプレスコで制作されたが、2011年夏に収録が行われたものの、地井が翌年6月に亡くなったため、映像が完成後に最終的な調整を行うことができなくなってしまっていた。そんななかで起用されたのが、三宅裕司だった。
当初は地井の過去の作品から音声を抽出し組み合わせる方法も検討されたがうまくいかず、そんななか、高畑勲監督から上がったのが三宅の名前。三宅は、突然の依頼に当初、「地井さんが真剣に強い思いで取り組まれ、更に映画として遺作となった作品に自分の声を重ねるなんて」と躊躇していたが、作品の完成を見届けられなかった地井の無念さや、生前、様々な場面で優しい声をかけてくれたことへの感謝などから大役を引き受けることにしたという。
翁の声を引き継いだことについて三宅は「地井さんにはずいぶんお世話になっていましたので、これで恩返しができたかなという気持ちが強いです。その気持ちが大きくて、今回の件も引き受けさせていただきました」とコメントした。
三宅としては、観客が“一部代役”ということに戸惑わないよう自らの名前を公表しないよう望んだが、ジブリ側の「映画の記録として三宅さんの名は残したい」という希望を受け、エンドロールにだけ「三宅裕司(特別出演)」と名前を載せることに。だが、作品を見た人々から「どの役柄で?」という質問が多く寄せられたことから、翁の役だったことを公表することとなった。
アフレコで三宅は、夕暮れの竹藪のなかでかぐや姫を必死で探すシーンの「どこへ行ってしまったんだよー。おーい、姫よー」というセリフや、姫が月へ帰ってしまいシクシクと泣くシーンの息づかいなど計6シーンを担当。高畑監督は、「誰が聞いても違和感がない。地井さんそのものだ」と満足し、1発OKが相次いだアフレコはたった10分で終了したという。
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