カンヌ映画祭で木下惠介監督作に拍手喝采。再評価に値するとの声も

カンヌ国際映画祭クラシック部門 木下惠介生誕100年記念ポスター
(C) 1958 松竹株式会社
カンヌ国際映画祭クラシック部門 木下惠介生誕100年記念ポスター
(C) 1958 松竹株式会社

現在、開催中の第65回カンヌ国際映画祭。そのクラシック部門で18日、木下惠介生誕100年を記念してデジタルリマスター版の『楢山節考』が上映され、300名を超える観客が集まった会場Nunuel Theater は大きな拍手に包まれた。

上映前には映画祭主催のパーティも催され、クラシック部門ディレクターのヴァン・パパドプーロスが「木下惠介生誕100年は重要。映画祭では近年ますますクラシック部門の重要性を認識しており、過去の名作や映画史上、重要な作品への敬意と共に、この部門の充実を図っていきたい」とコメントを寄せた。

また、ゲストスピーカーで映画史家のウルリッヒ・グレゴールも挨拶。1958年のヴェネチア国際映画祭に出品された同作を見て魅了されたというグレゴールは「木下惠介は、疑うことなく、小津(安二郎)、黒澤(明)、溝口(健二)に並ぶ偉大な監督。その多芸・多才ぶりは特筆すべきで、コメディから風刺作品まで幅広く、社会的背景にも裏打ちされている。また、彼の作品はスタイリッシュで、様式と鉄学性、荘厳さが調和しており、構造がしっかりしている。世界的にはなじみがないかもしれないが、再評価に値する監督」と絶賛した。

木下監督は『カルメン故郷に帰る』(51年)、『二十四の瞳』(54年)、『喜びも悲しみも幾歳月』(57年)などを手がけ、1998年に86歳で死去した。

木下監督作品は今後、香港映画祭などをはじめ世界各国での上映が予定されている。また、カンヌで上映されたデジタルリマスター版の『楢山節考』は10月26日にブルーレイがリリースされるほか、11月から12月にかけて特集上映も予定。ブルーレイの発売元である松竹によると、今回の上映により世界的関心が高まり、世界各国の配給会社から木下監督作品への問い合わせが集まっているという。

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