今回は【映画を聴く】のテーマに沿って、2014年の映画ベスト10を選んでみました。
<2014年の音楽映画ベスト10>
1位 ジャージー・ボーイズ
2位 グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの
3位 ストックホルムでワルツを
4位 インサイド・ルーウィン・デイヴィス
5位 FRANK
6位 日々ロック
7位 アルゲリッチ 私こそ、音楽!
8位 白夜のタンゴ
9位 黄金のメロディ マッスル・ショールズ
10位 パーソナル・ソング
何も意識せず、普通に選んだらこうなったのですが、奇しくも1〜3位はすべてミュージシャンの伝記映画。4位と5位は伝記ではないけれど、実在の人物をモデルにした準フィクション。7位〜10位はドキュメンタリーで、完全なフィクションは6位だけという結果になりました。
上位から順に見ていくと、『ジャージー・ボーイズ』はもう断トツの1位です。日本で顧みられることがほとんどなかったフランキー・ヴァリやフォー・シーズンズにこういう形で耳目が集まったというだけでトピックだし、音楽の取扱いがとても丁寧で、クリント・イーストウッド監督がこれまで手がけてきた音楽映画でもベストに数えていい仕上がりだなと。サントラCDがまた素晴らしいので、まだの方にはご一聴をおすすめします。
ティム・バックリィ&ジェフ・バックリィという早世のミュージシャン親子を描いた2位『グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの』は、本国アメリカでは2012年公開の作品。この親子も、3位『ストックホルムでワルツを』のモニカ・ゼタールンドも、日本で高い知名度を誇っているわけではありませんが、ともにエピソード(=人生)そのものの鮮烈さ、数奇さでドラマとして見せてしまう吸引力がありました。
4位『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』のモデルになったデイヴ・ヴァン・ロンクや、5位『FRANK』のダニエル・ジョンストンやキャプテン・ビーフハートなんかは、知名度という意味ではさらにマイナーと言っていい存在。むしろ、いまや伝記映画(もしくは実話ベースのフィクション)では、当人を知る知らないはそれほど重要なことではないのかもしれない。そう思わせるラインナップの並んだ年でした。この上位5作品については、後日改めて別のコラムで触れたいと思っています。
(…後編へ続く)(文:伊藤隆剛/ライター)
・伝記やドキュメンタリーに良作多し! 2014年の音楽映画ベスト10/後編
伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラの青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。
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