今回は【映画を聴く】のテーマに沿って、2014年の映画ベスト10を選んでみました。
<2014年の音楽映画ベスト10>
1位 ジャージー・ボーイズ
2位 グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈りもの
3位 ストックホルムでワルツを
4位 インサイド・ルーウィン・デイヴィス
5位 FRANK
6位 日々ロック
7位 アルゲリッチ 私こそ、音楽!
8位 白夜のタンゴ
9位 黄金のメロディ マッスル・ショールズ
10位 パーソナル・ソング
(…前編より続く)続く6位は『日々ロック』。このコーナーでは、本作の上映のタイミングで入江悠監督のこれまでの作品もいくつか取り上げましたが、映画監督としての器を着実に拡張させていることが実感できる作品として、『日々ロック』は堂に入った出来映え。多すぎる制約のなかでこそああいう形になったであろう『SR サイタマノラッパー』のようなスリルはもしかしたらもう味わえないかもしれないけれど、安定したエンタメ感を提供してくれる監督として、今後も期待大です。
・伝記やドキュメンタリーに良作多し! 2014年の音楽映画ベスト10/前編
7位から10位の4作品はすべてドキュメンタリー。これ以外にも『谷川さん、詩をひとつ作ってください。』や、Blu-ray/DVDで見た『情熱のピアニズム/ミシェル・ペトルチアーニ』『バックコーラスの歌姫たち』など、今年はカユいところに手が届くと言うか、「こういうことが知りたかった!」と知的好奇心を刺激するようなドキュメンタリーにたくさん出会えた年でした。
母親であり世界的ピアニストであるマルタ・アルゲリッチに実の娘が監督として密着した7位『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』は、クラシック音楽ファンでなくとも見応え十分な、親子の交感の記録。これを見た後に彼女の演奏を聴くと、以前より少しだけ音が柔らかく感じられる気がします。
「タンゴの起源はフィンランドだった!?」というキャッチーなツカミを持つ8位『白夜のタンゴ』については、時間的な都合で突っ込んだ記事を書けなかったのですが、その後何度か見返すたびに新たな発見があり、これは早くBlu-rayで手元に置いておきたいなと。
9位『黄金のメロディ マッスル・ショールズ』は、60〜70年代ロックが好きな人なら必見の題材ですが、監督は不動産業を営むアマチュア・ミュージシャン。ピュアな音楽愛が通底する、どこか『フィールド・オブ・ドリームス』的ですらあるファンタジー性が魅力です。
12月になって公開された10位の『パーソナル・ソング』も、いろいろな意味で記憶に残るドキュメンタリー。「音楽で認知症を改善する」という取組みが、感情まかせの絵空事でないことを示しただけでも、高い価値のある作品です。
この【映画を聴く】というコーナーでは基本的に毎回自分が見て面白かったものだけを紹介しているので、選んだ10作はどれも過去に記事を掲載しています。よかったら、そちらもチェックしてみてください。
(文:伊藤隆剛/ライター)
伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラの青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。
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