(…前編より続く)
【3位予想】
〇『グラスホッパー』
伊坂幸太郎の同名人気小説を、映画『脳男』の瀧本行監督が映画化。故意の事故によって恋人を失った男が、真実を突き止めるために大きな闇に飲み込まれていく姿を描く。主演は生田斗真。Hey! Say! JUMPの山田涼介、浅野忠信、菜々緒、吉岡秀隆など演技派が顔を揃える。
瀧本監督&生田斗真は、東宝配給の『脳男』(13年)と同じ組み合わせ。『脳男』は全国302スクリーンで公開され、オープニング3日間で動員22万人という数字だった。生田の主演作でみると『予告犯』(15年/東宝)が全国321スクリーンで初週土日動員14万4000人、『土竜の唄』(14年/東宝)が全国293スクリーンで21万人。
劇場公開数は約310館とそろった。生田&山田というジャニーズコンビの集客力も高く、山田主演の『映画 暗殺教室』は、前述の通り動員35万人を記録した。上記作品の配給は東宝。本作はKADOKAWA&松竹に変わった。このあたりがどういった影響を及ぼすかは未知数だが、多少割り引いたとしても15万人程度の集客は見込めるだろう。
・【週末シネマリサーチ】前編/『劇場版 MOZU』公開!東宝6週連続Vなるか!刺客は東宝とのタッグでヒット作連発の生田斗真!?
【4位予想】
▲『エベレスト 3D』
1996年に起きたエベレスト登山史上最悪と呼ばれた遭難事故をモチーフにしたサバイバルムービー。人間が生存できない「デス・ゾーン」に挑む登山家たちの熱い思いや、自然の恐ろしさを描いている。
9月18日に全米で公開。スタート時は540館程度での公開だったが、オープニングで約720万ドルをあげ初登場5位を記録した。その後、拡大上映になり、翌週順位を上げるなど、上々の評価を得た。
2015年、東宝東和配給作品は絶好調。『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』にはじまり、『ワイルド・スピード SKY MISSION』、『ミニオンズ』、『テッド2』が軒並みヒット。『ジェラシック・ワールド』に至っては、今年の興行収入ナンバー1をほぼ手中に収めている。10月に行われた第28回東京国際映画祭に、メガホンを執ったバルタザール・コルマウクル監督が来日。「保険会社の保障が出るギリギリの範囲まで撮影に挑んだ」と迫力の映像シーンを強調し話題になった。本作は約230館での上映。こちらも15万人以上の動員は期待したい。
【8位予想】
△『起終点駅 ターミナル』
直木賞作家・桜木紫乃の小説を、篠原哲雄監督で映画化。釧路を舞台に、過去の出来事から己を罰するように生きる国選弁護士の男が、自身が弁護した若い女性との出会いをきっかけに、心に微妙な変化が生じ前に踏み出す姿を描いたヒューマンストーリー。主演は佐藤浩市、対峙する女性・敦子を本田翼が演じる。
佐藤浩市主演の人間物語は『愛を積む人』(15年/アスミックエース、松竹)、『草原の椅子』(13年/東映)などが参考となりそうだ。『愛を積む人』は全国244スクリーンで公開され、初週土日動員6万7000人、『草原の椅子』が全国207スクリーンで初週土日3万9000人という数字。
本作は約200館での上映。本作は佐藤浩市と本田翼のコンビが新鮮で、どこまで若い世代を取り込めるかが集客の鍵を握りそうだ。第28回東京国際映画祭のクロージング作品。本田翼はレッドカーペットデビューを果たし大きな宣伝効果になった。5〜7万人と予想。
△『ミケランジェロ・プロジェクト』
第2次世界大戦下、ナチスドイツ軍によって強奪されたヨーロッパの美術品を奪還するために戦場に向かった特殊部隊の活躍を描いた物語。監督・脚本・製作・主演をつとめたジョージ・クルーニーをはじめ、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ケイト・ブランシェットなど豪華俳優陣が集結している。
全米では2014年2月に公開され、オープニング興収約2270万ドルで2位スタートを切った。日本でも昨年、20世紀フォックス配給で公開される予定だったが、突如中止。お蔵入りかと思われていたが、プレシディオ配給で公開にこぎつけた。上映館数は約150館。オスカー俳優たちの競演、題材的にも興味深くランキングに入る可能性は十分。
【注目シネマ】
*『サヨナラの代わりに』
オスカー女優ヒラリー・スワンク主演で贈るヒューマンストーリー。筋萎縮性側索硬化症(ALS)におかされた女性が、弱さと強さを見せながら生きていく姿を描く。
第28回東京国際映画祭「特別招待作品」として上映された本作。スワンクも来日し、ヘレン・ミレンと共に国際映画祭を彩った。彼女の作品は『P.S.アイラヴユー』(08年/ムービーアイ・東宝東和)が初週土日動員10万7000人、『ミリオンダラーベイビー』(05年/ムービーアイ・松竹)が初週土日動員13万人と実績十分。上映館は60館弱と少ないが、非常に注目度の高い作品だ。
(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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