2LDKのマンションで奇妙な共同生活を送る5人の若者たちの姿を通じ、現代日本の深層を浮かび上がらせた吉田修一の小説を映画化した『パレード』。この映画が2月20日に公開初日を迎え、藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介と行定勲監督が、舞台挨拶を行った。
本作は、現在開催中の第60回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に出品されていたが、19日夜(現地時間)に国際批評家連盟賞を受賞。さい先の良いスタートとなった。
受賞を受け、この日は急きょ、舞台挨拶前に囲み取材が行われた。まだ実感がわかないのか、行定監督は、冷静すぎるトーンで「ありがとうございます」と一言。さらに、「都合が良すぎないですかね。段取りが良いというか(笑)」と自重しながらも、「風が吹いている気がして、嬉しいですね」と喜びを口にしていた。
受賞理由について「なんとなく聞いた」という行定監督は、「分かりづらい人間関係や今の日本をうまく描いていることと、音楽の使い方が特出しているということのようです」。監督はベルリン映画祭に参加、上映にも立ち会っており、「音楽については、ベルリンの観客にも相当質問されました」と話していた。
香里奈、貫地谷もまだ実感がわかないそうで、林も「さっき聞いたばかりで、全然、状況が分かっていなくて(笑)。どんな賞なのかとか……。でも嬉しいです」とコメント。主演の藤原は「国境を越えて多くの人に見てもらえるのは、トクした気分になります」と笑顔を浮かべた。また小出は「この映画に関われて良かったとつくづく思いました」と話す一方、ある恥ずかしいシーンが海外でも上映されたことについて「その1点だけはマズいですね」と苦笑いを浮かべていた。
その後の舞台挨拶でも受賞の感想を聞かれた監督。「日本の複雑な人間関係やモラトリアムを描いた作品は、これまでの感じではヨーロッパに通じないと思っていたので意外でした」と話す一方、小出が出演するあるシーンでは、ベルリンの観客たちが大爆笑していたことを明かし、「でも、最後は水を打ったように静かになったので手応えはあったのですが」と告白。口で言うほどには「意外」でなかったようだ。
藤原は「(現場では)監督に、的確な演出で自由にやらせていただいた。すべては監督の力量」と誉め称え、香里奈は「スタッフ・キャストが一丸となって頑張った結果だと思うのですごく嬉しい」と喜びを語った。
また林は、「昨日の夜は全然眠れなかった。ネットでこの映画の感想とかを見たりして、今日(の登壇)を楽しみにしていました」と話していた。
さらにこの日は、香里奈と小出の誕生日をサプライズで祝う演出も! 小出はこの日が、香里奈は翌日21日が共に26歳の誕生日。客席からクラッカーでお祝いされ、映画をモチーフにしたケーキが登場すると、2人は満面の笑顔でお礼の言葉を口にしていた。また、藤原と貫地谷が2人に花束を贈呈。監督からは、ベルリンのバウハウス美術館で買ったという灰皿とソルト&ペッパー・セットを贈られ、盛大な祝福に少し照れたような表情を浮かべていた。
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