名優ダスティン・ホフマンが初監督作『カルテット!人生のオペラハウス』を携え来日。4月9日にザ・リッツカールトンで記者会見を行った。ホフマン監督が来日するのは21年ぶり4度目で、会見には樹木希林もゲストとして駆けつけた。
同作は、老齢の音楽家たちが暮らす老人ホームを舞台に、過去の栄光や確執をひきずった旧スターたちが繰り広げるドラマ。75歳のホフマンは監督初挑戦について36年連れ添った妻に背中を押されたことを告白。「監督に挑戦したいとずっと思い、準備をしたりもしたけれどなかなか実現しなかった。そんななかでこの映画の話をもらい、妻から『今やらなければいつやるの。引き受けなければ離婚よ』と言われた。それに対して僕は『もしこの映画を監督してヒットしなければ、僕が君と別れる』と言ったんだ」と語った。
音楽映画の会見ということで「本当はピアニストになりたかったけれど才能がなかったので、第2の選択で俳優になった」と音楽家を夢見た過去も告白。映画については「これはコメディであり、(主人公2人の)ラブストーリーでもある。そして、この世の中に悩みのない人はいないけれど、それでもみんなベストを尽くしているということを描いた作品」とアピールした。
その後、ゲストの樹木が登場。ホフマン監督の年齢について「私も70歳になりましたが、(監督も)75歳になられたんだと驚いた」と語り、「この映画は絵画的な美しさ、役者たちの技量もさることながら、歳を重ねる能力、魅力的に生きる能力を描いた作品。歳をとるのは素敵だなと思った」と映画の魅力、そして監督の力量を称えた。
ホフマン監督のファンだという樹木は緊張気味なのか、いつもの毒のあるコメントを封印した状態。そんなピュアな樹木を見ていたホフマン監督は「実は、40年前によく一緒にデートしたんだよ。その頃の彼女はとてもホットな女優だった」とジョークを飛ばし、いきなり樹木の頬にキス! 驚いたような笑顔を浮かべた樹木だったが「すみません、(私は)40年間別居している夫がいまして」と夫・内田裕也の存在を強調。「(夫は)今も愛情を持ち続けてくれているのでやきもちを焼く。殺されないようにしないと」と、今までにない困惑ぶりだった。
それにもめげずホフマン監督は「この若い女性は、本当に今を生きている。だから輝いている」と樹木を絶賛。「若い女性」にポカンとしていた樹木は「ああ、私ね」と照れ笑いしてから、「役者としてはけれんや破綻を好みますが、実生活においてはもう70歳なので、ちょっと収めたい。子どもたちや夫から愛情をいただけるような私になりたい。それがこれからの人生の目的」と、監督よりも家族を大事にしたいと語った。
だがその後のフォトコールのときもホフマン監督は樹木の頬に2度目のキス! 嬉し恥ずかしといったいつもとはまったく違う樹木の様子に、記者席からは温かな歓声が沸き起こっていた。
『カルテット!人生のオペラハウス』は4月19日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国順次公開される。
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