現地時間6月28日まで開催されていた第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門で、最優秀作品賞と最優秀男優賞の2冠に輝いた『私の男』。この映画に主演する浅野忠信と二階堂ふみが、6月30日に都内で受賞トロフィー片手に緊急記者会見に臨んだ。
本作は、第138回直木賞に輝いた桜庭一樹の同名小説を熊切和嘉監督が映画化した作品。9歳のときに震災で両親を亡くした腐野花(くさの・はな)と、彼女を引き取ることになった遠縁の親戚・腐野淳悟(くさの・じゅんご)による禁断の愛を描いたもので、浅野が淳悟役を演じ、二階堂が花役に扮している。
浅野は「長いこと、この仕事をしていてこういう機会はないので、素晴らしい賞をいただけて本当に嬉しい。まさか賞をもらえるとは思ってもいなくてビックリしました」と喜びのコメント。
共演の二階堂については「ふみちゃんがいなければ淳悟はありえなかった。ふみちゃんが花の状態でいてくれて、花の存在感と力がなければ、淳悟の側面は出てこなかった」と感謝の言葉を述べていた。
その二階堂は「賞の話を聞いたときは、世界に認められて良かったなと、ただそれだけでした」と振り返ると、受賞については真っ先に母親に連絡したことを明かし、「『いつかは主演女優賞を楽しみにしています』と言われ、また頑張ろうと思いました」と笑顔をのぞかせた。
また、母親が映画好きだったことから、映画への憧れが強くなりこの世界に入ったと打ち明けると、「その時に見てきた映画のなかに浅野さんが出演していて、なんと素敵で素晴らしい役者さんなんだろうと憧れていました」とコメント。その浅野から「ふみちゃんがいなければ淳悟はありえなかった」と言葉をかけられたことについては「先輩からお言葉をいただけてグランプリを同じくらい嬉しく光栄です」と話していた。
一方の熊切監督は、台湾で行われている映画祭で審査員をつとめているため、会見にはスカイプで参加。賞を獲ったことがわかったときに実家に電話したそうで、「夜中だったので寝ていた母親に全然信じてもらえなかったです」と苦笑い。
最優秀男優賞を獲得した浅野については「原作を読んでいるときからイメージをしていて、ずっと好きな俳優さんだったので、すぐにお願いしました。浅野さんは生身の切実さというか、よりイキイキとやっていただけたので撮っていてワクワクしました。二階堂さんは、別作品のオーディションの時に水面下で進んでいて、その場で花がいると思いました」と振り返っていた。
『私の男』は新宿ピカデリーほかにて全国公開中だ。
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