『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』
どうなる? ポケモンVS妖怪ウォッチ
(中編より続く)『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』の劇場前売り券が100万枚を突破。東宝の配給映画史上最多を記録し、大人を巻き込んでの社会現象とまでなった妖怪ウォッチ。どうしても「ポケモン」と比較されがちだが、映画版もやはり「ポケモン」に比べてストーリー性が高い。というより「ポケモン」が劇場1作目から、存在意義や他者との共生やらとやたらと観念的で哲学的なムードを漂わせ過ぎなのだ。メッセージ性の部分は子どもはもちろん理解できないし、だからといって大人をうならせるほど深みはないように思える。テレビシリーズのほうがトレーナーやポケモンにスポットをあてていて楽しく見られる。
一方、『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』は小難しいことは言わず、“友達大事!”をモットーに、突然消えた妖怪を見ることができるアイテム“妖怪ウォッチ”を取り戻す冒険を繰り広げる。まとっているのは哲学的なメッセージではなく、映画版でもパロディとギャグだ。
今回の物語のキー・キャラクターとなるのは、志村けんが声を担当している年取った猫のような妖怪・マスターニャーダ。緑のマントを着て、神秘のエネルギー“ホース”を使いこなす。そう、このキャラクターのパロディの元ネタは『スター・ウォーズ』のヨーダだ。ほかにも「ドラえもんの」パロディが登場したり、主人公ケータの田舎は毛馬本(けまもと)村で熊本県をもじっており、くまモンも登場したり、パロディやギャグが満載なのだ。そして、心を閉ざしている登場人物に妖怪たちが友だちになりたがっていることを気づかせる“友達大事!”なストーリーはシンプルで微笑ましい。子どもも大人も純粋に楽しめて、バカバカしく笑えて、ワクワクもできる。
ただ当然だが、バカバカしい笑いは安っぽく感じるものだし、パロディは流行りものの場合は数年経つと古びてくることは否めない。内容がシンプルであるほど飽きられるのも早いかもしれない。いまは爆発的な勢いで、定番だった「ポケモン」よりも「妖怪ウォッチ」のほうが優勢だが、この人気がどこまで持つのかは心配なところ。JJR西日本は、冬季に「妖怪ウォッチ」のスタンプラリーを実施。今年の夏は東西線で「妖怪ウォッチ」のスタンプラリーが行われたが、来夏のJR東日本のスタンプラリーは「ポケモン」から「妖怪ウォッチ」へと取って代わられるだろうか? そして、来年末のマクドナルドのカレンダーやいかに!?
まぁ、筆者としてはピカチュウの無垢な愛らしさも、ジバニャンの俗っぽいかわいさも捨てがたいからして、両者とも“友達大事!”に“共生”していって欲しいのだが。(文:入江奈々/ライター)
『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』は12月20日より全国公開される。
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