『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』
JBの「セックス・マシーン」までパロった
パロディ気質で大人世代にもくすぐりをかける
つ、ついにここまで来たかー!とダメ押しのように感じたのは、マクドナルドが毎年恒例で販売しているオリジナル・カレンダーが去年までは「ポケットモンスター」(ポケモン)だったのに、今年は「妖怪ウォッチ」になっているのを目撃したときだ。
去年あたりの「コロコロコミック」では、「ポケモン」や愛すべきナンセンス・ギャグ漫画の「ペンギンの問題」や「ケシカスくん」はなりを潜めて「妖怪ウォッチ」が台頭。今年の始めにテレビシリーズの『妖怪ウォッチ』が始まったときには、「近いうちに映画化もありそうだなぁ」とは思ったが、その頃はまだ小学生の間でブームとなっている程度で、こんなにも早く映画化されるとは予想できなかった。
それなのに、今や劇場前売り券が100万枚を突破! これは東宝の配給映画史上最多というから、ここまで来たか……と驚かされる。妖怪ウォッチが大人も巻き込んで社会現象となったからかもしれない──そう妖怪ウォッチは大人も惹きつけられる魅力を持っている。というか、逆に子どもに解るのか?とさえ思う。
テレビシリーズのオープニングテーマで、ちまたで子どもたちが歌って踊っている「ゲラゲラポーのうた」にしても“ゲラゲラポー”はジェームズ・ブラウンの「セックス・マシーン」の“ゲロッパ”が元ネタだろうし、歌っている“キング・クリームソーダ”もキング・クリムゾンが元ネタであることは言うまでもないが、子どもたちが知ってるわけがない。知ってて歌っている子どもがいたら、アブナイ。
歌だけでなく、妖怪ウォッチは『3年B組金八先生』やマイケル・ジャクソン、なんと「ポケモン」までパロディにしている。「ポケモン」も出すあたりは妖怪ウォッチの懐の大きさというか余裕を感じる。また、そういった一般知名度があるものから、「パタリロ」の“クックロビン音頭”という大人世代でもマニア受けのものや、「妖怪ウォッチ」を開発したゲームソフト会社であるレベルファイブのCEO・日野晃博を元ネタにしたであろう“日野神”というキャラクターを登場させる内輪ネタもある。ちなみに“ヨーでるヨーでるヨーでるヨーでるようかいでるけん でられんけん”の歌詞が九州弁なのもレベルファイブが福岡県を拠点としているからだろう。
そのあたりのパロディ気質が大人にも受けているのかもしれない。(中編へ続く)(文:入江奈々/ライター)
『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』は12月20日より全国公開中。
・(中編)前売り券100万枚突破!『妖怪ウォッチ』人気はいつまで続く?『ポケモン』との違いは?
・(後編)前売り券100万枚突破!『妖怪ウォッチ』人気はいつまで続く?『ポケモン』との違いは?
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