ベネディクト・カンバーバッチが人種差別用語使用で謝罪「自分の愚かさについて弁解できない」
最新作『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』でアカデミー賞主演男優賞候補になっているベネディクト・カンバーバッチがアメリカのトーク番組で人種差別用語を使用、公式に謝罪を表明する騒動が起きた。
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カンバーバッチは21日(現地時間)に放送されたトーク番組「Travis Smiley」に出演した際、母国イギリスとアメリカにおける俳優の雇用の違いについて言及。イギリスでは白人俳優が優遇されている現状について「有色人種の俳優に関しては、イギリスの状況はかなり違っていると思います。僕の友人たちの多くはイギリスよりもここ(アメリカ)で、より多くの機会に恵まれているし、こうした状況は変えていかなければならないことです」と語った。
発言自体は人種差別とは正反対のもので、その意図は視聴者にも十分伝わっていたのだが、カンバーバッチの使った有色人種(Coloured)という言葉が差別的だとして、インターネットなどで非難する書き込みが相次ぎ、カンバーバッチはすぐに「こんな時代遅れの言葉を使い、無礼を働いたことに精神的に打ちのめされています。心からお詫びします。自分の愚かさについて弁解はできません」と謝罪声明を発表した。
2月22日(現地時間)に発表の第87回アカデミー賞で、カンバーバッチと共に主演男優賞候補になっているのは全員白人の俳優。アメリカの公民権運動で活躍したマーティン・ルーサー・キング牧師を描く『Selma(原題)』でキング牧師を演じたデヴィッド・オイェロウォは候補入りを有力視されながら、落選した。
昨年のアカデミー賞では、アメリカの奴隷制度を描く『それでも夜は明ける』(カンバーバッチも出演)が作品賞など3部門を受賞した。同作で虐げられる奴隷の女性を演じたルピタ・ニョンゴが助演女優賞に輝き、主演のキウェテル・イジョフォーも受賞こそ逃したものの候補入りしていたのだが、今年は一転、俳優部門の候補者は男女とも白人のみだ。作品や個々の才能など、肌の色だけでは語れないのはもちろんだが、アジア系も含めて、ハリウッドでも人種のバランスのとれた環境が整っているとは言い難いのが実情であり、自国の状況も踏まえて一石を投じたカンバーバッチの勇気は評価すべきという声も少なくない。同じ英語を話していても、イギリスとアメリカの言語感覚の違いもあったと思われる。
「最も恥ずべきなのは、差別用語を使用したのがイギリスのパフォーミング・アート界における人種間の不平等について、迅速な改革を求めると語っているときだったことです」と言うカンバーバッチは、「せめて今回の件が、正確で人を傷つけない言葉を正しく使う重要性を強調することになればと願っています」とも語っている。
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