【映画を聴く】『サンセット・ストリップ 〜ロックンロールの生誕地〜』前編
ハリウッドセレブが語る思い入れ
『サンセット・ストリップ 〜ロックンロールの生誕地〜』は、さまざまなカルチャーの発信地として知られるL.A.の“サンセット・ストリップ”と呼ばれるエリアの歴史を紐解いたドキュメンタリー。キアヌ・リーブスやジョニー・デップ、シャロン・ストーンらのハリウッドセレブや多くのミュージシャンがコメントで登場し、この地への思い入れを語っている。
サンセット・ストリップは、ハリウッドとビバリーヒルズを結ぶサンセット大通りにある2.4kmほどの細長いエリアを指す。日本ではビリー・ワイルダー監督の1950年作品『サンセット大通り』やテレビドラマ『サンセット77』でかろうじて知られているぐらいかもしれないが、最近では2012年に映画化されたブロードウェイのミュージカル『ロック・オブ・エイジズ』の舞台でもあり、映画や音楽などのカルチャーに関わる人々が世界中から集まり、刺激的な場所であり続けている。
もともとこの地域は1920年代の禁酒法が施行されていた時代に開拓が始まり、「マダムフランシス」という売春宿で知られるようになったという。マフィアの抗争なども多く、その歴史は常に光と影の強いコントラストに覆われている。多くのカジノやナイトクラブが建ち並ぶようになり、中でもモカンボやシロ、ウィスキー・ア・ゴー・ゴーといった店は世界的に伝説となっている。
本作に“ロックンロールの生誕地”という副題が付けられているのは、このサンセット・ストリップが“セックス、ドラッグ&ロックンロール”を体現するようなエリアだったから。60〜70年代にドアーズ、レッド・ツェッペリン、バーズ、ラヴ、シーズといったグループがこの地を拠点としたり長期滞在することが多くなり、特にハイアット・ハウスでのツェッペリンの夜ごとの大騒ぎなどは彼らの豪傑っぷりを知らせるエピソードとしてあまりに有名だ。(後編「サンセット・ストリップの磁場」へ続く…)
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