(…前編「現存する日本最古のロック・バンド中心人物〜」より続く)
【映画を聴く】鈴木慶一・後編
伝説のバンド、はちみつぱいを再結成
5月のライヴはソールドアウト!
子ども番組への出演や、まるで音楽性の異なるバンド/ユニットの掛け持ち、数多くの楽曲提供、そして映画音楽など。鈴木慶一はデビュー45周年を迎えた今も現役ミュージシャンとしてエネルギッシュに活動を続けているが、そのフットワークはレジェンドと呼ばれることを拒むように軽やかだ。
それを証明するかのように、昨年の45周年記念ライヴにはムーンライダーズの面々や高橋幸宏、KERA、PANTAといった旧知の仲間以外に、一世代も二世代も年下の新しい音楽仲間が数多くゲスト参加。これまでの音楽的交流の成果を、ライヴという形でまざまざと見せつけた。
そんな鈴木慶一がこの5月、自らの原点である伝説のバンド、はちみつぱいを再結成。「Re:Again」と題したワンマン・ライヴを東京と大阪で開催する。1973年に『センチメンタル通り』というアルバムをたった1枚残して解散してしまったこのバンドは、1988年と先述の45周年記念ライヴでも再結成して往年のファンを沸かせたが、今回もすでに全公演がソールドアウト。これまで大きなヒットが1曲もなく、ミュージシャンズ・ミュージシャン的なイメージで語られがちな人だが、いっぽうで忠誠度の高い熱心なファンがとにかく多いのだ。
常に最新の音楽トレンドに目を配り、その音楽性を更新し続けるいっぽう、自身の過去を決してないがしろにしない。5年後、ミュージシャン生活50周年を迎えるころにはまた今とは違ったスタンスの活動を展開しているに違いないが、ソロでもバンドでも、そして映画音楽でも、変わらずチャレンジングな姿勢を見せ続けてほしいと思う。(文:伊藤隆剛/ライター)
伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの 趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラ の青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる 記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。
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