累計発行部数2800万部、世界13カ国で翻訳出版されている浦沢直樹のマンガを、3部作で映画化した『20世紀少年』。製作費60億円、300名を超えるオールスターキャスト、1年にも及ぶ長期撮影という、日本映画としては最大級の規模で製作されたこのシリーズを締めくくる『20世紀少年<最終章>ぼくらの旗』が8月29日に公開初日を迎え、唐沢寿明、豊川悦司、常磐貴子、香川照之、平愛梨、石塚英彦、山寺宏一、佐野史郎らキャストと堤幸彦監督が、東京・有楽町のTOHOシネマズ 日劇1で舞台挨拶を行った。
上映後の舞台挨拶とあり、興奮さめやらぬ空気がただよう場内。後方の扉から唐沢たちが登場すると、満席の観客席からは大きな歓声が上がった。
まずは主役の唐沢が、いきなり「『頭蓋骨を小さくしようの会』の会長、唐沢寿明です」と挨拶。「?」マークが飛び交う場内を見渡すと「微妙にザワついてますけど、ついて来れない方はそのままで……」と独り悦に入っていた。そして「今日でやっと終わるという気持ちと、寂しい気持ちがあります」と、長期に渡って関わった作品への愛着を語った。
続いてマイクを握った豊川は、唐沢が醸し出した微妙な空気に包まれて微苦笑しながら、「舞台挨拶では毎回、唐沢さんが僕の前に微妙な雰囲気を作ってくださるので、どう切り返したらいいかと悩んでいましたが、この、やりにくい舞台挨拶も今日で終わりかと思うと、本当に気持ちがラクになります」と本音をポロリ。映画作りについては、やってすごく良かったし、幸せな作品になったと思います」と誇らしい思いをのぞかせた。
実はこの最終章、公開前の試写会ではラスト10分をカットしたバージョンが上映されていたため、完全な形で披露されるのはこの日が初めて。常磐は、「みんな、見ちゃったんですね結末を」と感慨深げに言った後で、「いかがでしたか?」と客席に向かって質問。大きな拍手が返ってくると、満足そうな笑顔を浮かべ「ご満足いただけたようで嬉しい。こういうことだったんだという結末ですよね」と語りかけていた。
その常磐の隣に並んだのが、カンナ役に大抜擢された平。登壇直後から涙が止まらず、唐沢が、「俺が最初にヘンなこと言ったから泣いてるの?」と気づかう場面も。そんな周囲の温かさに包まれた彼女は、泣き笑いのような表情を浮かべ、声を震わせながらも、「言いたいことは沢山あるんですけど、この偉大な作品に、ちっぽけな私が出演させていただいたことを、本当に嬉しく、ありがたく思います」と立派に挨拶。「監督や共演者や、たくさんのスタッフの方々が私を育ててくれました」と、自分にとって記念すべき作品だったことを述べ、「10年間も売れない私を見捨てずにいてくれた事務所の社長やスタッフに、今後はちゃんと恩返しができるように頑張ります。ここで学んだことを、次につなげていけるように、一生懸命頑張ります」と語り、客席から温かい拍手を送られていた。
平の次に挨拶したのは、マルオ役の石塚。「この作品はこれで終わってしまいますが、実は第4章の『マルオとカンナの夢日記』が、もう間もなくクランクインするので、ぜひそちらの方もお楽しみいただけたら」と満面の笑みでまことしやかに語ると、他の登壇者や場内からは笑いが巻き起こっていた。
最後は、常磐のかけ声による三本締め。「やったことないから」と戸惑いながらも、凛々しい声で「お手を拝借!」と呼びかけ、キャストも観客も一体となった見事な三本締めを行った。
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