皇居を一時占拠──知られざるクーデター未遂事件を役所広司主演で映画化
第二次世界大戦で日本が降伏を決定した8月14日から、15日に天皇による玉音放送で敗戦が伝えられるまでの緊迫の24時間を描いた半藤一利の傑作ノンフィクション「日本のいちばん長い日 決定版」を、役所広司主演で映画化することが明らかになった。
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原作の主軸となるのは、降伏に反対する一部の軍人たちが14日深夜から15日にかけて起こしたクーデター未遂事件。玉音放送を阻止しようとする彼らが皇居を一時占拠した様子が描き出される。
この映画で役所が演じるのは、“一億玉砕論”が渦巻くなかで決断に苦悩する阿南惟幾(あなみ・これちか)陸軍大臣。また、時の内閣総理大臣・鈴木貫太郎を山崎努が、内閣書記官長・迫水久常(さこみず・ひさつね)を堤真一が、畑中健二少佐を松坂桃李が演じるほか、7年ぶりの本格的スクリーン復帰となる本木雅弘が昭和天皇を演じるのも話題のひとつ。
本作の出演について役所は「阿南という人物は、戦時下の陸軍トップとして部下を愛し、部下にも慕われ、天皇への一途な忠誠心も持つ一方、家族も大切にした魅力的な人でした。各個人それぞれの“家族”、そして天皇を中心とした日本という“家族”、その“家族”というテーマに重きを置いて描かれていることが、この作品の最大の魅力ではないでしょうか」とコメント。「山崎努さんとの共演は長年の夢が実現しました。本木雅弘さん、堤真一さん、松坂桃李さん、原田組常連の俳優さんに加え、多くのフレッシュな俳優さんが、ドキュメンタリーの如くリアリティをもって魅力的に演じています。完成がとても楽しみです」と語った。
メガホンを執るのは、『クライマーズ・ハイ』や『わが母の記』などを手がけてきた原田眞人監督。「あの8月、天皇が自分の言葉で語り始めなければ、若き日の両親は国土防衛戦に巻き込まれ、命を落としていたでしょう。半藤先生の幾多の終戦にまつわる著作を何回も読み、天皇の勇気を支えたのが終戦内閣の鈴木貫太郎首相と阿南惟幾陸相の2人であるとも確信しました。昭和天皇はあの8月まですべての家族の“家長”でありました。年齢的には、この3人は貫太郎さんを家長とする長男と次男の家族でもあり、そこに映画の根っこを置きました。映画『日本のいちばん長い日』は、幾重にも交錯する家族の、存亡を賭けた4ヵ月のドラマです」と、作品に込めた思いを語った。
「日本のいちばん長い日」はかつて東宝が岡本喜八監督、三船敏郎主演で1967年に映画化されているが、本作はそのリメイクではなく、「日本のいちばん長い日 決定版」を原作に、天皇と鈴木貫太郎が戦争を終結へと導く様子を同じく半藤が描いた「聖断」の要素を加えて映画化した新作。
『日本のいちばん長い日』は、来年8月に公開される。
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