3月と言えば映画『ドラえもん』。シリーズ35作目となる『のび太の宇宙英雄記』が、いよいよ今日から公開される。1980年の第1作目『のび太の恐竜』から毎年必ずこの季節に公開されるこのシリーズ(2005年のみ公開なし)、これまで観客動員数が200万人を下回った作品がひとつもなく、おそらく日本で育った10代から40代くらいまでの人なら見たことがない人の方が珍しいくらいの、文字通り国民的な映画だ。
パラレルワールドを舞台にしていること、のび太と仲間たちがスーパーマン的な能力を手に入れること、ドラえもんがいつもより頼りない代わりに、しずかちゃんとスネ夫とジャイアンの団結力が半端なく、とりわけジャイアンが“いいヤツ”になること、といった映画版の規定演技を踏み外すことなく、子どもから大人までを毎回きっちり感動させてしまう“ドラえもんマジック”は本作でも健在。シンガー・ソングライターのmiwaが手がける主題歌「360°」も、彼女らしい親しみやすさと作品の世界観が共存していて好ましく思った。
記憶に残る名曲が数多く主題歌として起用されてきた映画『ドラえもん』シリーズだが、それらをまとめると以下のようになる。
1980年 のび太の恐竜 「ポケットの中で」大山のぶ代
1981年 のび太の宇宙開拓史 「心をゆらして」岩渕まこと
1982年 のび太の大魔境 「だからみんなで」岩渕まこと
1983年 のび太の海底鬼岩城 「海はぼくらと」岩渕まこと
1984年 のび太の魔界大冒険 「風のマジカル」小泉今日子
1985年 のび太の宇宙小戦争 「少年期」武田鉄矢
1986年 のび太と鉄人兵団 「わたしが不思議」大杉久美子
1987年 のび太と竜の騎士 「友達だから」大山のぶ代
1988年 のび太のパラレル西遊記 「君がいるから」堀江美都子・こおろぎ’73
1989年 のび太の日本誕生 「時の旅人」西田敏行
1990年 のび太とアニマル惑星 「天までとどけ」武田鉄矢
1991年 のび太のドラビアンナイト 「夢のゆくえ」白鳥英美子
1992年 のび太の雲の王国 「雲がゆくのは」武田鉄矢
1993年 のび太とブリキの迷宮 「何かきっといい事ある」島崎和歌子
1994年 のび太と夢幻三剣士 「世界はグー・チョキ・パー」武田鉄矢一座
1995年 のび太の創世日記 「さよならにさよなら」海援隊
1996年 のび太と銀河超特急 「私のなかの銀河」海援隊
1997年 のび太のねじ巻き都市冒険記「Love is you」矢沢永吉
1998年 のび太の南海大冒険 「ホットミルク」吉川ひなの
1999年 のび太の宇宙漂流記 「季節がいく時」SPEED
2000年 のび太の太陽王伝説 「この星のどこかで」由紀さおり・安田祥子
2001年 のび太と翼の勇者たち 「Love you close」知念里奈
2002年 のび太とロボット王国 「いっしょに歩こう」KONISHIKI
2003年 のび太とふしぎ風使い 「またあえる日まで」ゆず
2004年 のび太のワンニャン時空伝 「YUME日和」島谷ひとみ
2006年 のび太の恐竜2006 「ボクノート」スキマスイッチ
2007年 のび太の新魔界大冒険 「かけがえのない時」mihimaru GT
2008年 のび太と緑の巨人伝 「手をつなごう」絢香
2009年 新・のび太の宇宙開拓史 「大切にするよ」柴咲コウ
2010年 のび太の人魚大海戦 「帰る場所」青山テルマ
2011年 新・のび太と鉄人兵団 「友達の唄」BUMP OF CHICKEN
2012年 のび太と奇跡の島 「生きてる生きてく」福山雅治
2013年 のび太のひみつ道具博物館 「未来のミュージアム」Perfume
2014年 新・のび太の大魔境 「光のシグナル」Kis-My-Ft2
2015年 のび太の宇宙英雄記 「360°」miwa
(後編へ続く…)(文:伊藤隆剛/ライター)
伊藤 隆剛(いとう りゅうごう)
ライター時々エディター。出版社、広告制作会社を経て、2013年よりフリー。ボブ・ディランの饒舌さ、モータウンの品質安定ぶり、ジョージ・ハリスンの趣味性、モーズ・アリソンの脱力加減、細野晴臣の来る者を拒まない寛容さ、大瀧詠一の大きな史観、ハーマンズ・ハーミッツの脳天気さ、アズテック・カメラの青さ、渋谷系の節操のなさ、スチャダラパーの“それってどうなの?”的視点を糧に、音楽/映画/オーディオビジュアル/ライフスタイル/書籍にまつわる記事を日々専門誌やウェブサイトに寄稿している。1973年生まれ。名古屋在住。
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