「映画好き」と言われれば言われるほど、聞きづらくなるのが映像技術の一般常識。理解しているようでいて実はよく知らない。こっそり訊ねたら「そんなこと知らないの?」と呆れられそう。本コラムでは話題の映画ブルーレイを題材にしながら、いまさら聞けない映画の一般常識や用語についてお話していこう。
●今回のお題「4D」
●オススメBlue-ray『ジュラシック・ワールド』
『アバター』『タイタニック』に続くオールタイム興行成績ベスト3に輝いた『ジュラシック・ワールド』だが、劇場公開時にはIMAX 3D版のほかにMX4D版で楽しむことができた(いつも4D鑑賞は予約チケット争奪戦となる)。座席に座っただけで緊張感が高まる4Dシステム上映だが、映画の場面とリンクした感覚を体感できるのが最大の特徴となっている。
映画を「鑑賞」するものから、「体感」するものに変える4D。その基本定義は3D+αのエンターテイメントであること。その仕様もさまざまだ。2004年、ユナイテッド・シネマとしまえんに「ウィンブルシート」システムが世界初導入されたが、当初は2D上映のみであったため4Dとは謳われていない。
2010年にはカナダのD-BOX社によって開発した「D-BOX」が、ワーナー・マイカル・シネマズ大高に日本初導入。これは「ウィンブルシート」と同じく座席が動くだけのシステムであったが、やがて物理的なエフェクト(香り、水、風、フラッシュ、煙など)を使った4Dシアターシステムが登場することになる。
まず「4DX」。韓国のCJ 4DPLEX社が開発した4Dシステムである。2009年から韓国内で提供が開始(第1弾『センター・オブ・ジ・アース』)、2013年に名古屋・中川コロナシネマワールドに導入されている。特徴は座席可動、送風、水しぶき、放香、スモーク(ミスト)、風圧、雷鳴光、降雨、バブル(泡)エフェクトである。
そして「4DX」よりもエフェクトが多様なのが、米・ロサンゼルスがMediaMation社が開発した「MX4D」である。日本では今年4月オープンのTOHOシネマズ ららぽーと富士見が初導入、今後はTOHOシネマズ/TOHO 4D プロジェクトとして展開されていく。特徴は座席可動、座席の突き上げ、首への触感、背中への触感、放香、送風、水しぶき、足元への触感、地響き、突風、霧、ストロボ・エフェクトとなる。
こうした4Dシステムは徐々に普及しているが、その足枷になっているのが料金の高額化だ。「4DX」で1000円増し、「MX4D」で1200円増しとなる(いずれも3Dメガネ別途)。価格の設定は今後の課題となりそうだ。前述の『ジュラシック・ワールド』はMX4D鑑賞であったが、同時に3Dだけでも抜群に楽しめる作品である。ご家庭ではブルーレイ3Dで、たっぷりハラハラドキドキできるのでご安心を。(文:堀切日出晴/オーディオ・ビジュアル評論家、オーディオ・ビジュアル・ライター)
次回は1月15日に掲載予定です。
堀切日出晴(ほりきり・ひではる)
これまでに購入した映画ディスクの総額は軽く億を超えることから、通称は「映画番長」。映画助監督という作り手としての経歴を持ち、映画作品の本質を見抜くには、AV機器を使いこなすこと、ソフトのクォリティにも目配りすることを説く。
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